本質をつかむための質問
- Master
- 6月13日
- 読了時間: 3分

<今回は企業の立場の記事です>
最近面接が続いてますが、面接を何度もやってると、採用って、つくづく「大きな意思決定」だと思います。
というのも、一人の人を採用するということは、実は3〜4億円規模の投資をするのと同じくらいのインパクトがあるからです。 簡単に解雇できない今の日本において、給与や福利厚生はもちろん、教育、育成、マネジメントの工数、さらにはその人が組織に与える影響まで考えると、それだけの価値がある決断になります。
そんな大きな投資判断を、たった2時間(=1時間の面接×2回)、場合によってはそれ以下の面接の中で見極めないといけない。 冷静に考えると、なかなか無茶な話ですよね。でも、それが採用のリアルです。
だからこそ、「何を聞くか」「どう聞くか」が非常に重要になってきます。 中でも、その人の本質的な力や考え方に近づける質問ができるかどうかが鍵になります。
再現性のある実績に迫る
応募者の過去の実績を具体的に深掘りするために有効な質問手法の一つに、STAR(Situation, Task, Action, Result)フレームがあります。 なぜこれが有効かと言えば、「過去の行動は、将来の行動を予測する最も確かな材料だから」です。 たとえば、「前職で成果を出したエピソードを教えてください」と聞くだけでなく、
そのときの状況(Situation)はどうだったのか?
与えられた役割や課題(Task)は何だったのか?
どのように行動(Action)したのか?
その結果(Result)はどうだったのか?
これらを一つひとつ丁寧に確認することで、その人の判断軸や仕事の進め方、再現性の高さが見えてきます。
ホンネの転職検討理由に迫る
また、もうひとつ大切なのが転職検討理由のホンネを探ること。
表向きには「スキルアップのため」「成長環境を求めて」などの理由が並ぶことが多いですが、そこだけを鵜呑みにしてしまうと、入社後のギャップにつながることもあります。
そんなときに有効なのが、
「もし●●がなかったとしたら、転職は考えなかったですか?」 という聞き方です。
たとえば「人間関係がうまくいかなくて…」という人に、「もしその人との関係が良好だったとしたら、辞めようとは思わなかった?」と聞いてみる。あるいは「残業が多すぎて…」という人に、「仮に残業がなかったら、転職は考えなかった?」と聞いてみる。
すると、たまに「本当に転職したかった理由」だったり、「キャリア観や価値観の本質」が浮き彫りになることがあります。
こうした質問の積み重ねが、短い面接時間の中でその人の“本質”に近づくための手がかりになります。テンプレートのような質問ではなく、相手の言葉に耳を傾けながら、柔軟に掘り下げていく。その力が、採用の精度を大きく左右します。
採用は、「見抜く力」と「問いの技術」によって、その精度が大きく変わります。限られた時間の中で、いかに核心に迫れるか。 人を見抜くことは、決して簡単ではありません。しかし、問いを磨くことで、私たちは“本質”に近づくことができるのです。
採用は質問力。面接は対話の技術。
自社にとっての最良の一手を導くために、明日からの面接にぜひ取り入れてみてください。
コメント